2016年8月29日月曜日

Tariff dance company 公演無事終了(親の気持ち)

息子夫妻の主宰するダンスカンパニーの公演【Coco】、2日間が無事に終了しました。
8月24日(水)、25日(木)に東京都杉並区の〔座・高円寺2〕という劇場で開催されました。彼らが2013年にパリでカンパニーを立ち上げてから、日本では初めての単独公演でした。

振付・構成・演出・出演の全てが二人だけで行われます。
この公演の話を聞かされた時、200席のホールに二日間二人だけで集客できるのか心配でした。親としてはまだ名の知れていない新しいカンパニー(それもコンテンポラリーダンスというマイナーなジャンル)では、無謀な計画だと思いました。

しかしスタッフや関係者の方々のご尽力と二人の努力で終えることができました。満席とはいかなくても必要な収支は賄えたようです。支えて下さったたくさんの方々には感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。観に来てくださった皆様にも心からお礼申し上げます。
それに先ず、天災(地震、台風など)や事故(怪我、テロ、交通機関の乱れ)に合わずに過ごせたことが何よりです。残暑が厳しい二日間でした。24日は私も夫と楽屋でお手伝いをしましたが、テキパキと進行していく舞台裏に接して大変さがよくわかりました。
でも、息子は幸せだったと思います。初めての単独公演。今まで生きてきた中での集大成です。
50分間、二人はシンプルな舞台で音楽と照明を駆使して身体表現を繰り広げました。




息子は10歳ぐらいからダンスを始め、33歳の現在まで一心不乱にこの道を突き進んできました。子供の頃は「男のくせにダンスをやっている」というだけで奇異に見られイジメられたりもしました。進路について悩み、精神的に不安定な時期も度々ありました。親も一緒に苦しみました。
彼の創る踊りはコンテンポラリーダンスで、親も理解に悩む芸術世界です。ごく一般的なダンスの〔きれい、華やか、楽しい、可愛い〕という内容ではないジャンルなので、共感してくださる観客はまだ少ないようです。そのため集客も厳しい状況です。

【芸術で食べていく】ことは今の日本では難しく、大学を卒業しても生活は援助し続けなければ成り立ちませんでした。コンクール上位入賞などの日頃の成果が評価され、文化庁の国費留学生としてフランスに2年7か月滞在した期間以外は、援助が必要な生活です。今回の公演での準備時間を費やすためアルバイトもできず、公演は赤字にならなくても自分たちの生活費は稼げません。


坂田 守   長谷川まいこ

それでも、素晴らしいパートナーに出会い、二人で真摯に作品制作に打ち込んでいる姿は清々しいものがあります。各地でワークショップを開催し、少しずつ生徒さんも増えているようです。彼らの身体表現と精神を凄いエネルギーで発信し続けています。希望や夢を追い求めて現実と闘っています。でも若いとはいえ、体力には限界があります。また精神的に辛くならないか?怪我は大丈夫か?疲労が溜まっていないか?ちゃんと栄養のあるものを食べられているのか?・・・心配は尽きません。
親はどこまで援助し続けるか、共倒れにならないように、無理な状況は作らないようにしなければなりません。もし本当に厳しくなったら、彼らは踊りを捨てられるのでしょうか?・・・今はまだわかりません。

同世代の子供がいる友達から「子供が就職した、結婚した、孫ができた」という話を聞くと、落ち着いて家庭を持ち自立している子供が羨ましです。
でも、今回彼らの【Coco】を観て、親バカですが、感心しました。
これまでの泣き笑いの日々が思い起こされました。様々な困難がありました。でも大きな喜びもありました。
息子が初めてコンクールで賞を取った時、小学生でしたが、ステージで踊る姿を観て「ああ、この子は私の手の届かないところに行ってしまった」と感じたことが昨日のようです。小学校の卒業文集に「プロのダンサーになりたい。それが僕の夢だ」と書いた息子。
もう何があっても覚悟はできています。それほど厳しい時期もありました。

毎日のニュースでは天災や犯罪の痛ましい報道があります。どこでどのようにしていても明日は何が起こるか分からない世の中です。なるようにしかなりません。だから私たち家族が今日平穏に過ごせることに感謝しつつ、夢に向かって一緒に進んで行きたいと思います。

Tarinof dance company のHPはこちらです。
どうかよろしくお願いいたします。

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