2018年8月21日火曜日

歌の持つ意味 [オールド・ブラック・ジョー]

私の勤務するグループホーム(認知症の高齢者介護施設)のオーナーから、演奏曲のリクエストがありました。
[オールド・ブラック・ジョー]です。
その施設が編集した歌集にこの歌が入っていることは以前から知っていました。
その時、私は驚きました。何故この歌が高齢者施設の歌集に入っているのかな?と思いました。それは、この歌の内容は今まさに死にゆく黒人奴隷の老人のことだからです。

「作曲者フォスターは南部の黒人の生活に題材を採った曲を何曲も作っていますが、これもその1つ。生涯を南部のプランテーションで働き続けた黒人奴隷が、この世を去ろうとする際の諦観の思いを歌ったものです。
 南北戦争開始の前年、奴隷解放宣言の3年前の1860年に、ニューヨークで楽譜が発売されました。」(二木絋三の歌物語 より)


   若き日 はや夢と過ぎ 我が友 皆世を去りて
   あの世に 楽しく眠り 
   かすかに我を呼ぶ「オールド・ブラック・ジョー」
   我も逝かん はや老いたれば
   かすかに我を呼ぶ「オールド・ブラック・ジョー」

   1. Gone are the days
      When my heart was young and gay,
      Gone are my friends
      From the cotton fields away,
      Gone from the earth
      To a better land I know.
      I hear their gentle voices calling:
      "Old Black Joe"
          (Chorus:)
          I'm coming, I'm coming,
          For my head is bending low,
          I hear those gentle voices calling:
          "Old Black Joe"


施設の歌集に載っているため、時々スタッフが歌詞を見ながらリードして合唱しているようです。それを気に入った女性入所者がいらっしゃるとか。多分深い内容はわからないのでしょう。
それで私のボランティア演奏の時にもピアノで伴奏して歌ってくれないか?ということらしいです。

でも、私はたとえ認知症の高齢者の前でも自分からこの歌を演奏することはできません。
ご本人が好きで口ずさむのは良いと思いますが、私はこの歌詞を施設の利用者の前では歌えません。

それにもし入所者のご家族が面会にいらした時に、施設のスタッフがリードしてこの歌を歌っていたら、「何と不謹慎な歌を歌わされていることか・・・」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。

歌自体はフォスターの名曲だと思います。だから今まで歌い継がれているのでしょう。私の母は学生時代に英米文学を専攻していたので、私は子供の頃から母の歌でこの歌を知っていましたし、黒人奴隷のことや奴隷制度のことも親から聞いていました。

考え過ぎかもしれませんが、歌の深い意味を思うと、歌えません。

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