アメリカの歌手、トニー・ベネットが先日(7/21) 96歳で亡くなったそうです。
彼の代表曲と言えば『思い出のサンフランシスコ』です。この曲は私の亡き父の思い出の曲です。
仕事の関係で海外出張が多かった父は、とりわけサンフランシスコの街がお気に入りでした。あちらで覚えた本場の歌をいち早く取り入れて、いつも歌っていました。おそらくトニー・ベネットの歌声を聴いていたと思われます。そっくりに歌いました。
そして、ピアノを習っていた私にポップスの楽譜集を買ってきて「これを練習して伴奏してよ」と言いました。レコードも聞かせてくれました。
今でも大切に保存しています。出版が1967年と買いてあるので、私が中学生か高校生ぐらいの時です。
クラシックピアノ練習曲のハノン、チェルニー、ソナチネ、バッハ、、、ばかりを弾いていた私にとって、新鮮な音楽世界でした。
父は楽譜には歌詞を書き込んでいました。これを見ると♪I Left My Heart in San Francisco〜♪と得意気に歌う父の姿や声が蘇ります。
枯葉(Autumn Leaves)もお気に入りで、よく歌っていました。この曲の原曲はシャンソンですが、出張先のアメリカでトニー・ベネットのジャズっぽい歌い方を聴いたのだと思います。
我が家に父のお客様が来ると、必ず伴奏に呼ばれました。
父の影響で私は幼い頃からトニー・ベネットの他に、ジュリー・ロンドン、パティー・ペイジ、ナット・キングコール、フランク・シナトラなどのレコードを聴いていました。
父はソシアルダンスも好きで、コンチネンタル・タンゴのレコードもありました。時々母と踊っていました。
仕事と趣味に忙しく生きて、あっという間に60歳半ばで人生を終えてしまいましたが、濃密な時間を駆け抜けたのだと思います。昭和一桁は戦後の日本復興を背負って生きたのでしょう。バブルがハジける前に亡くなったのは幸せだったかもしれません。
トニー・ベネットの歌は、それからもずっと聴き続けています。最近までジャズ歌手として成熟した素晴らしい演奏を聞かせてくれました。本当に素敵な歌手でした。
合掌。
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